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企業活動を考える上で押さえるべきCSVとCSRの違い

 以前にも触れたように、企業は活動する上で「社会的価値」を実現することが求められている。この「社会的価値」は、より具体的には「CSV」と「CSR」の観点から考えることができる。

 CSVはCreating Shared Valueの略称であり、「共通価値の創造」を意味している。すなわち、企業にとっての利益となる経済的価値と、社会にとっての利益となる社会的価値の両方を生み出すことを意味している。なお、企業(=組織や団体)にとっての利益であるが社会にとっての利益でないものの代表例としては、反社会的団体による活動(=犯罪行為)が挙げられる。こうした活動は、その団体にとっては利益になるが社会にとっては害という点で、社会的価値は無い。

 経済的価値と社会的価値の両方を生み出すことを指すCSVとは別に、CSRという考え方も重要である。CSRはCorporate Social Responsibilityの略称であり、「企業の社会的責任」を意味している。ここでの責任とは、企業にとっての利益となる経済的価値ではない「善行」を指す。イメージとしては、企業によるボランティア活動などが当てはまる。

CSVとCSRを実現するための企業の活動

 企業が実現するべきCSV(経済的価値+社会的価値)とCSR(社会的責任)は、それぞれ「攻めの活動」と「守りの活動」に大別され、以下の図のように4つに分類することができる。

 企業は、社会課題を解決し、社会的価値を実現するために存在することが求められる。自社がこの社会で発展していくことを目指す上で競合他社との競争は避けられないが、競合他社を打ち負かし、市場から排除することだけを考えるのは必ずしも正しくない。社会(すなわち市場)に競合他社が増えることで、消費者が増加し、市場規模が拡大し、行政機関や政府に与える影響は大きくなる。こうした変化によって、社会的価値がいっそう生み出され、人々にいっそう享受されていくことになる。もしも市場に一社しかないのであれば、その一社が法外な価格でサービスや製品を提供した場合に消費者はそれを購入せざるをえない。これは、消費者にとって大きな不幸である。

 企業が健全に発展していくために重要なのは、多くの利害関係者を巻き込んでいくことである。従業員だけでなく、原材料の提供者や加工業者、または物流、販売店などの取引先、そして消費者に至るまで、多くの関係者をつくり、自社を中心にクラスターを形成していくことが企業の発展の道筋となる。

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