給与や昇給に強い興味がある労働者であれば、一度は下記のグラフを見たことがあるかもしれない。
このグラフは、主要先進国(日本・アメリカ・イギリス・ドイツ・フランス・イタリア・カナダ)の1991年から2020年までの30年間の賃金推移である。一目で分かるように、日本以外の国で賃金が大きく上昇しているのに対して、日本は名目賃金・実質賃金[※]ともに30年間でほとんど変化がない。
このグラフを見ると、もしかすると「日本は“全体的に”不景気だ」と考える人も多いかもしれない。しかし、たとえば2000年から2020年までの20年間をみると、日本企業が株主に支払う配当金は5倍以上になっている。そうなると次に思い浮かぶのは、「株主にお金を払いすぎて、企業は貧しくなっているのではないか?」という疑問だ。しかし、企業の貯金を意味する内部留保は、2000年から2020年で2倍以上になっている。
これらのデータから分かることは、決して「日本は“全体的に”不景気だ」ということではなく、日本では株主も企業も“リッチ”になっている反面、労働者の実質賃金だけが増えていないという事実である。
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